生理の悩み
※10代の方や内診を受けたくない方は、問診や経腹エコー(お腹の上から超音波をあてる方法)で対応します。
生理不順 | 女性は12歳頃に初潮がはじまり、生理の期間は3日~7日、間隔は約28日の周期で子宮からの出血がみられます。月経の周期が整わない、24日以下、39日以上を月経不順といいます。また、生理が3ヶ月以上来ない状態では何らかの異常があると考えられるので受診をおすすめします。 |
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不正出血 | 生理以外の出血がある、生理と思っていても10日以上出血が続く場合は受診をおすすめします。量が多い状況を過多月経といいます。量についての明確な基準はありませんが、以前に比べて量が多い、塊が出る、貧血がある場合はご相談ください。 |
生理痛 月経過多 | 生理痛がひどい状況を月経困難、量が多い状況を過多月経といいます。 |
生理痛について
生理痛の原因として体質やストレスで起こると考えられる「機能性月経困難症」と、子宮や卵巣になんらかの原因が隠れている「器質性月経困難症」があります。「機能性月経困難症」は一般的に比較的早い時期の思春期から20代前半に多く、子宮内膜組織から分泌される「プロスタグランジン」という物質の働きで、子宮が強く収縮されて起こる痛みと考えられます。 一方、病気が隠れている「器質性月経困難症」の主な原因は「子宮内膜症」と「子宮筋腫」です。子宮内膜症は子宮内膜に似た組織が子宮以外の卵巣や腹膜などにできてしまい、子宮内膜と同じように増殖と剥離を繰り返しますので、月経の時に「プロスタグランジン」の作用で子宮を収縮させたり、神経末端を刺激することで強い痛みを感じます。「子宮内膜症性月経困難症」は年齢が高くなるとともに、痛みがひどくなることが多く、生活や仕事に支障がでたり、不妊のリスクも高まります。
生理痛の対処法
- 鎮痛剤を用いる
- 低用量ピルなどを用いて排卵を起こさないようにして毎月出血をつくる
- 黄体ホルモンなど用いて生理痛を弱める
- 漢方療法
また、カウンセリングや運動療法も有効と言われています。
生理痛について
機能性月経困難症 | 子宮内膜症性月経困難症 | |
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発症時期 | 初経後3年以内 | 初経後5年以上経過 |
好発年齢 | 15~25歳 | 30歳以上 |
加齢による変化 | 次第に軽快 | 次第に悪化 |
月経困難症(生理痛)の治療について
子宮内膜症がある場合にも生理痛を和らげるのに「低用量ピル」は有効ですが、内膜症が進行しているときは手術で病巣を取り除くことも考慮することがあります。
おもな月経困難症の治療薬
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低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合製剤
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が含まれており、排卵をおこさないようにして、子宮内膜の増殖や子宮の収縮運動を抑えることで月経時の症状を軽くします。
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鎮痛剤(NSAIDs)
子宮を収縮させる痛みの原因となる「プロスタグランジン」の産生を抑えます。
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漢方薬
漢方薬は体質や状態に対して処方するお薬で血行を良くして体質改善し、痛みをやわらげます。
また、カウンセリングや運動療法も有効と言われています。
おりものの悩み
婦人性器からの分泌物をおりもの(帯下)といい、子宮・腟内の自浄作用や、受精の際に精子が子宮内に侵入するのを助ける作用があります。生理の周期の中で性状や量が変化します。卵胞期前半は半透明から白っぽいおりものが少量でますが、排卵ごろには粘調度の高い透明なおりものに変化します。排卵の際に少量の血液が混じることもあります。黄体期になると徐々におりものは減少し、白色に変化し、その後、生理になります。
生理周期に関係なく、量が多い、悪臭、性状が変化する、外陰部に痒みがある際には、腟炎や子宮内感染の可能性がありますので受診をおすすめします。おりものの細菌検査で原因を調べ治療をします。
性感染症検査
クラミジア | クラミジア・トラコマティスという微生物で起こる感染症で最も多い性行為感染症です。10代~20代の女性が多く感染していますが、自覚症状はおりものの量が多くなる程度で感染に気づくことが少なく、ほっておくと卵管閉鎖などの不妊の原因にもなるため心当たりがあれば症状が少なくても検査を受けることをおすすめします。検査方法には子宮頚管分泌物でクラミジア抗原を検査する方法と血液検査でクラミジア抗体を調べる方法があります。内服で治療します。パートナーと一緒に治療する事をお勧めしています。 |
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淋病 | ヘルペス コンジローマ など検査で調べることができます |
避妊相談
年齢やライフスタイルに合わせて女性側も避妊に対しさまざまな選択肢があります。パートナーとよく相談し、よく理解した上で、納得できる避妊方法を選びましょう。詳しくは医師にご相談ください。
経口避妊薬 (低用量ピル) |
経口避妊薬であるピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2つの女性ホルモンが含まれており、毎日服用することでほぼ確実な避妊ができますので望まない妊娠を避けることができます。
ピルの避妊作用には次の三つの働きがあります
以前のホルモン量の多いピルでは、血栓症などの重大な副作用が指摘されていましたが、低用量ピルではこのような服作用が大幅に減少しました。また、ピルを飲むと「太る」と心配される方がおられますが、低用量ピルではほとんどの人は太ることはありません。 アンジュ、トリキュラー、ラベルフィーユを1年以上服用されている方は、オンライン診療をご利用になれます。 副作用:まれに体重増加、下腹部痛、不正出血、血栓症、喫煙により心筋梗塞などの心血管系の障害が起こりやすくなります。異常を感じた場合は医師にご相談ください。 (費用 3,120円~3,470円 税込) |
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緊急避妊ピル (アフターピル) |
避妊に失敗した時や性交渉をもった後に妊娠する可能性が高い日であることがわかった時に服用する緊急避妊ピルがあります。行為後72時間以内にピルを2錠服用します。90%の確立で妊娠を防ぐことができますが、このお薬は妊娠を完全に阻止できるものではありません。月経のような出血、不正子宮出血があらわれることがあり妊娠初期の出血と区別がつかないことがありますので医師にご相談ください。また肝臓、心臓、腎臓に疾患がある方は事前に医師にご相談してください。
(費用1回1錠 8,560円 税込) |
IUD (避妊リング) |
月経終了直後に器具を子宮内に挿入し、受精卵が着床するのを防いで避妊します。避妊リングは2~3年に1回交換する必要がありますが、毎回避妊に対する精神的ストレスが少ないのが利点です。避妊効果はピルほど高くありません。また、最近では黄体ホルモンが配合され月経痛を和らげることができる避妊リングもあります。
副作用:腹痛、月経時期以外の出血、稀に気づかないうちにぬけてしまうことや子宮の壁に入りこんでしまうことがあります。異常を感じた場合は医師に相談してください。 (費用 28,880円~47,850円 税込) |
更年期障害
女性の45歳から55歳頃の年齢を「更年期」と言います。女性は平均的に50歳前後で閉経を迎えますが、その前後5年間の期間を指します。40代半ば頃から卵巣の機能が低下するにしたがって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。この時期に起こすのぼせ、ホットフラッシュ、発汗、イライラ、倦怠感等さまざまな不調を更年期障害と言います。主な治療法としては、ホルモン補充治療や漢方での治療が挙げられます。是非ご相談ください。
子宮がん検診
子宮頸がんは比較的進行が遅いガンで、少なくとも2年に1回は検診を受けるようにすると早期発見、早期治療につながります。
子宮頸がん罹患率と死亡率
- 子宮頸がんってどんな病気?
- 子宮の入り口である頸部にできるがんで、子宮がんのうち7割程度がこのタイプです。原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。HPVは性交渉によって人から人へ感染し、ほとんどは免疫力によって体外へ排せつされますが、中には細胞が正常ではない異形成と呼ばれる前がん状態を経て、自覚症状がないままがん化します。日本人の罹患率は74人に1人で、20代後半から40代の間で増えており、死亡者数は近年上がっています。小さなお子さんを残して亡くなる方もあり別名「マザーキラー」ともよばれる病気です。20歳を過ぎれば、2年に1回は必ず検診を受けてください。
- 早期発見するためにはどうしたらいいの?
- 予防は性経験をする前のワクチン接種が望ましいですが、あわせて検診を受診することで早期発見ができます。検診は子宮の入り口を小さなハケで軽くこするだけなのですぐに終わり、同時に他の婦人科系疾患の発見や相談も可能です。子宮頸がんは検診で発見しやすく成診率が高い病気です。しかし、日本の受診率はOECD(経済協力開発機構)加盟36カ国の中で最下位の約38%。がん化してしまうと、子宮を摘出しなければならなかったり、リンパ節や他臓器への転移の可能性も出てきます。早期の段階で発見することで治療後の妊娠も可能です。
子宮頸がん | 子宮体がん | |
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子宮のどこの場所にできるのですか? | ||
子宮の入り口である頸部の上皮(表面の細胞)に発生します。 | 子宮の奥にあたる体部のうちの内膜に発生します。閉経前の女性では子宮体がんの発生は多くありません。 | |
何歳の人に多いのですか? | ||
30歳から40歳代で多く診断されています(10万人当たり40〜70人)。 40歳以上では年々減っていますが、20歳から30歳代では逆に増えています。 |
50歳から60歳代で多く診断されています(10万人当たり20〜30人)。 以前は少なかったのですが、全ての年齢層で年々増えています。 |
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どのような人がなりやすいのですか? | ||
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が発がんと強い関係があります。 また妊娠・出産回数が多い人ほどなりやすいといわれています。 喫煙者はリスクが高くなります。 |
閉経以降にリスクが高くなります。また、ホルモン補充療法を受けたり、子宮内膜増殖症がある、不規則な月経、無月経や排卵異常がある、また妊娠や出産の経験がない人がかかりやすいといわれています。 肥満、高血圧、糖尿病があるとリスクが高くなります。 |
部位別・年齢別にみた子宮がん発生率
子宮頸がんワクチン接種
子宮頸がん予防ワクチン4価は、発がん性HPVの中でも、特に子宮頸がんの原因として最も多く報告されている、HPV16型とHPV18型、他6型、11型の感染を防ぎます。すでに、世界100カ国以上で使用されており、日本でも2009年12月より、一般の医療機関で接種する事ができるようになりました。4価ワクチンについては接種券配布対象者の方小学6年生から高校1年生は無料で受けられます。
また、当院では9価HPVワクチン(シルガード9)を入荷しています。9価ワクチンは上の型に加えて31型、33型、45型、52型、58型を予防します。より予防効果が高いことから近年9価を希望される方が多くなっています。
▶ 厚生労働省のホームページをご覧下さい。
▶ HPVワクチンについてのまとめをご覧下さい。
※シルガード9は予約制となっております。必ずお電話でのご予約をお願いします。
注意)子宮頸がん予防ワクチンは発がん性HPVの感染を予防するもので、ワクチン接種前に発症した子宮頸がんを治したり、進行を遅らせたりするものではありません。
レディース検診(ブライダルチェック)
20代から30代で将来妊娠、出産をお考えの方におすすめします。
自身の健康を保つため、病気の早期発見、早期治療のため、また妊娠、出産に適した時期を知り、それをふまえたライフプランを考えていただくために、子宮がん検診を受けられる際にレディース検診を受けられてはいかがでしょうか。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮の壁にできる良性の腫瘍で、珍しくない腫瘍です。小さなものも含めると、30歳以上の女性の20-30%にみられます。がん(悪性の腫瘍)ではありませんが、貧血や痛みなど様々な症状の原因となります。筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンによって大きくなります。閉経すると、逆に小さくなります。
複数個できることが多く、数や大きさはさまざまです。大きさやできる場所によって症状が違ってきます。できる場所によって、子宮の内側(粘膜下筋腫)、子宮の筋肉の中(筋層内筋腫)、子宮の外側(漿膜下筋腫)に分けられます。
おもな症状は、生理の量が多くなることと生理痛です。その他に生理以外の出血、腰痛、頻尿(トイレが近い)などがあります。治療が必要かどうかもできた場所や症状によって異なってきます。妊娠しにくい(不妊)、流産しやすい(習慣流産)などの症状もみられることがあります。子宮筋腫は婦人科診察と超音波検査で診断します。手術が必要な方は適切な医療機関を紹介します。
子宮内膜症
子宮内膜またはそれに似た組織が何らかの原因で、子宮の内側以外の場所で発生し発育するのが子宮内膜症です。20~30代の女性で発症することが多く、そのピークは30~34歳にあるといわれています。
子宮内膜症は女性ホルモンの影響で生理の周期に合わせて増殖し、生理として排出されるはずの血液が子宮の内側以外の場所でたまったり、周囲の組織と癒着をおこしてさまざまな痛みをもたらします。不妊症の原因にもなります。
子宮内膜症ができやすい場所として、卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)、仙骨子宮靭帯(子宮を後ろから支える靭帯)、卵管や膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間のくぼみ)などがあげられます。稀ではありますが肺や腸にもできることがあります。「痛み」は子宮内膜症の患者さんの約90%にみられます。
この他、生理痛以外にも腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などがみられます。こうした症状は20~30歳代の女性に多く、加齢による女性ホルモン分泌が減少するとおさまってきます。妊娠を希望する生殖年齢の女性では「不妊」が問題となります。妊娠の希望のある内膜症患者さんの約30%に不妊があると考えられています。治療は大きく分けて薬による治療と手術による治療があり、症状の種類や重症度はもちろん、年齢、妊娠の希望などを総合的に判断して最適な治療法を選択していきます。
旅行や大切な日に備えて生理を調整したい方(月経移動)
内服薬で生理日を調整できますので、旅行や大切な日の10日前までに来院の上、ご相談ください。
前回の受診から半年以内の方は、オンライン診療をご利用になれます。
副作用:吐き気、食欲不振、乳房のはり、血栓症
異常を感じた場合は医師に相談してください。
(費用 診察代1,600円 税込 薬は院外処方になります)
人工妊娠中絶(母体保護手術)
妊娠初期から中期にかけて、人工的に胎児を体外へ出して流産させるのが中絶です。望まない妊娠をしてしまい一人で悩む人も少なくありません。中絶を希望される場合は、早めにご相談ください。妊娠週数に応じて安全な方法で手術を行います。
中絶できる時期は法律で妊娠22週未満(21週6日まで)と定められ、これ以降の中絶は禁止されています。妊娠12週以降の中絶は薬によって人工的に陣痛を起こして、一般的な出産と変わらない方法で行わなければいけませんので体にかかる負担が大きくなります。費用は週数によって異なります。
中絶術は、子宮の中を直接観ることができないため、手探りで行うことになります。ごくまれに子宮穿孔(子宮に穴が開く)を起こすことがあります。また子宮内に少量の内容物が残るため場合によっては再手術が必要になる事があります。手術後はしばらく出血が続きます。翌日と1週間後の来院が必要です。
(費用 116,600円~209,000円 税込 妊娠週数による)
料金について
子宮頸ガン検診 (京都市在住・隔年受診) | 1,000円 |
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9価HPVワクチン (シルガード9)※1 | (1回につき) 27,500円 |
4価HPVワクチン (ガーダシル) | 17,330円 |
スメアシュアパス (=子宮頸ガン検査) | 1,100円程度 |
低容量ピル (1ヶ月分・院内処方) | 3,120円~ 3,470円程度 |
クラミジアPCR・淋菌PCR(おりもの検査) | 1,130円程度 |
※1 HPVワクチンに関しては厚生労働省のパンフレットをご覧下さい。
輸入品のため、料金が変動する場合があります。
また、在庫確認の必要がある為、必ずお電話でのご予約が必要となります。