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培養室からのメッセージ
当クリニックの高い治療成績を支える培養室から、
シリーズで皆様に情報をおとどけします。ぜひご覧下さい。
第1回 パーソナルインキュベーターについて
培養室からのメッセージその第一回目は、人の胚専用の培養装置、パーソナルインキュベーターについてです。体外受精で卵子を保管する装置をインキュベーター(培養器)といいます。
全国に約600か所以上ある体外受精の施設のほとんどが大きな箱型の培養器を使用しています。
これはもともと、放っておいても勝手に増殖する実験用の癌細胞や動物の受精卵を培養する際に使われるものです。
当院でも平成12年の春までこのようなタイプの培養器を使用していましたが、同年の夏以降、パーソナルインキュベーターという人の体外受精用に開発された独自の培養装置を使用しています。
この装置は従来箱型に比較して良いところがたくさんありますので、ご紹介します。
| パーソナルインキュベーター | 従来型(箱型) |
|---|---|
| ガラスボトルにより個々に分けられるため胚の取り違え防止に役立つ | 棚に数人の培養皿を並べ取り違えの原因になる |
| 一つ一つのガラスボトルは密閉されているため、一人分の胚を取り出す際にも中のガス環境の変化や、温度変化が最小限に抑えられる | 扉の開閉により中のガス環境の変化や、温度変化が全ての培養皿に影響する |
| 培養に適切な混合ガスを常にボトルに流しているため安定した状態で培養できる | 三種のガスを流しセンサーにより管理しているが、そのセンサーがよく錆びるためガス調整にくるいがおきやすい |
| ボトルの下半分には培養液と同等の溶液を入れ湿度と環境を守っている | 水は入っているが、扉の開閉により高湿度を保つのは難しい |
| ガラスボトルは200度以上の乾熱滅菌ができ、定期的に完全滅菌をおこなっている | 消毒が容易ではない(汚染されると、全ての培養皿を出し滅菌しなくてはならない)ため、カビ等の発生がおきやすい |

パーソナルインキュベーター
当院ではこのような環境で皆様の大切な受精卵を培養、保管しているため 他の施設に比べ非常に高率で安定した治療成績を提供することができます。
第2回 ガスサイクルエアータイトチャンバーとは
卵子や胚(受精卵子)は、体の中では低酸素の環境下で存在しています。メッセージ1で説明しましたように、卵の培養は温度の保持と一定濃度の混合ガスにより管理しています。採卵のときの卵子探しや受精の確認、分割胚の観察など、培養器の外で卵子を扱うときも出来る限り培養環境と同じようにしなくてはなりません。
卵子や胚を扱う作業のほとんどはクリーンベンチという作業台でおこなわれるのが一般的ですが、クリーンベンチ全体を37℃に温め、ガスで一定環境を保つのは困難です。
そこで、箱型で温度管理ができる新生児用のクベース(保育器)に顕微鏡を設置し、その中にガスを流し入れられるように改良をおこない、このクベースを培養に近い環境で卵子や胚を扱えるチャンバーとして使用していました。しかし改良型クベースは作業台と顕微鏡ステージの温度に差が生じます。そのため、顕微鏡と一体となり、顕微鏡ステージを含めた作業スペースの全面が37℃になるヒト専用に開発された、Gas Cycle Airtight Chamber(ガスサイクルエアータイトチャンバー)を前回のメッセージ1で紹介した新型培養器とともに導入しました。
新しいチャンバーは、温度はもちろん、作業スペースの全面が37℃に保たれ、一定量の湿ったガスを流し温度と培養液のPHの保持をより一層安定した状態で保てます。また、HEPAフィルターにより、常にクリーンな空気がチャンバー内を循環するようになっています。卵子を扱うときは、必ずこのような環境下の中でおこなっています。

ガスサイクルエアータイトチャンバー
私たちは培養だけではなく、それ以外のところでも卵子や胚にとって良い環境であるように心がけております。
第3回 当院で使用している高度な培養器とは(パーソナルインキュベーターその2)
体外受精はからだの外に卵子を取り出し、受精、発育後にからだに戻し妊娠を促すものです。からだの外に出た卵子はそのままでは非常に悪い環境にさらされてしまいます。
卵子がいかに良い環境にいるかにより、その後の妊娠の結果が大きく左右されるといえます。その環境を作っているのが培養液であり、その環境を守っているのが培養器です。
当院では、卵子の入る容器を一人分ずつ個別にすることにより、他の人の卵子を操作するときでも環境変化の影響を受けませんし、受精卵の取り違い防止に役立ちます。また、容器をより小さくすることで変化した環境が即座に回復するメリットもあります。
さらに、当院の培養器には胚(受精卵)の発育に適した濃度に調整された混合ガスを直接流しており、他の施設では、窒素ガスと炭酸ガスを培養器内で調整する方式のものが多く使われていますがそれと比べると、培養器内の環境の復元はかなり安定した状態になります。
当院では平成13年頃よりこの培養器に切り替え、現在まで安定した治療成績が得られております。
また、機械も初期型を3台、平成19年により精密に改良された大型のものを導入し、
現在一度に33人分の個別培養が可能となっています。
| 平成 | 妊娠率(移植あたり) |
|---|---|
| 11年 | 20% |
| 12年 | 19% |
| 13年 | 32% |
| 14年 | 39% |
| 15年 | 33% |
| 16年 | 35% |
| 17年 | 43% |
| 18年 | 45% |
| 19年 | 52% |
| 20年 | 51% |
| 21年 | 53% |
| 22年 | 55% |
第4回 体外受精、胚移植法の適応

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